Ⅰ.概要
今年度の事業は、世界各国・地域から15名の代表を日本へ招聘し、2012年7月20日(金)より10日間の日程で実施しました。7月22日(日)に行なわれた「第17回海外高校生による日本語スピーチコンテスト」(国際大会)では、380名の観覧者で立ち見が出る程の大盛況の中、各国で選抜された高校生が流暢な日本語を用いて自由なテーマでスピーチを行い、さらに審査委員によるインタビューを受けました。審査委員会と観覧者全員による審査が行われ、最優秀賞をはじめとした各賞が授与されました。その後、懇親会として「JSA交流パーティー」が開催され、首都圏の高校生を中心に多くの参加者がコンテスト出場者と親交を深め合いました。
翌日7月23日(月)から6日間に渡って「異文化交流プログラム」が開催されました。プログラムには日本人高校生も参加し、それぞれの文化を理解するとともに、国境を越えて友情を深め合いました。このプログラムを通して、海外高校生、日本人高校生共に自分とは異なる文化への関心をより高めることができました。7月29日(日)に、コンテスト出場者が帰国の途につき、本事業は終了しました。
今年度の事業は、桜美林大学、国際ソロプチミスト東京・東、学校法人新井学園赤門会日本語学校など、多くの方々からの支援により成功を収めることが出来ました。過去の国際大会参加者のほか、神奈川県や東京都の高校生ボランティア約50名が今年度の事業を支えてくれました。私たちの彼らに対する使命が、異文化交流の機会の提供だけに留まらず、ボランティア活動の場の創設でもあることを強く感じさせられました。
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最優秀賞を受賞した趙詩園さん(左上)、優秀賞を受賞した広瀬亜佐美カーレンさん(右上)、審査員の先生方と記念撮影(下) |
Ⅱ.コンテストの報告
「第17回海外高校生による日本語スピーチコンテスト」(国際大会)の開催日である7月22日(日)は、天候にも恵まれ、多くの方々の来場を頂くことができました。
本大会の司会進行は、昨年に引き続き、株式会社ホリプロ所属の安田美香さんに務めていただきました。主催者であるNPO法人E.G.G.理事長の豊田邦裕からの挨拶、国際教育開発協会の理事であり、城西国際大学大学院特任教授の高見澤孟JSA審査委員長からの審査についての説明の後、出場者・審査委員の紹介を経て、いよいよ海外高校生のスピーチが始まりました。
賞 |
参加者名 |
参加国 |
年齢 |
スピーチタイトル |
最優秀賞 |
趙 詩園 |
中国(瀋陽) |
17 |
おばあちゃんのハサミ |
優秀賞 |
広瀬 亜佐美 カーレン |
ブラジル |
18 |
日本の震災からブラジルが学ぶこと |
会場特別賞 |
チェ ダ ヨン |
韓国 |
17 |
今を生き抜く力 |
審査委員特別賞 |
マーリーン カンポス |
アメリカ |
18 |
母の夢と私の夢 |
審査委員特別賞 |
トム ロドリゲス |
イギリス |
18 |
外国語の重要性 |
審査委員特別賞 |
ファティマー ザーラトゥンニサ |
インドネシア |
17 |
いやな日本語で夢をかなう |
審査委員特別賞 |
ミンサン パーク |
オーストラリア |
17 |
犬の嘆き |
審査委員特別賞 |
カン ボンパニャ |
カンボジア |
16 |
僕の好きなカンボジア |
審査委員特別賞 |
サラ タン |
シンガポール |
17 |
私の初恋 |
審査委員特別賞 |
伏 宇星 |
中国(上海) |
17 |
旅路に花を |
審査委員特別賞 |
徐 力 祺 |
中国(香港) |
17 |
社会人+ストレス=害? |
審査委員特別賞 |
ケーリン リトル |
ニュージーランド |
17 |
かんがえ方 |
審査委員特別賞 |
ソーニャ マウゴシャタ カスプシツカ |
ポーランド |
19 |
チームワークの力 |
審査委員特別賞 |
チャン ウェン キット |
マレーシア |
16 |
私の大切なもの |
審査委員特別賞 |
マカノワ ソフィア |
ロシア |
15 |
ちよこのラブストーリー |
今年度の各スピーチは、日本語運用能力はもちろんのこと、内容においても発想力豊かで非常にレベルの高いものばかりでした。スピーチ後の日本医科大学医学部講師の藤谷克己先生によるインタビューでも、観衆の笑いを誘うユーモアを交えて、しっかりとした受け答えしていました。非常にレベルの高いスピーチが続いた中で、殊更に目を引いた3名が最優秀賞、優秀賞、会場特別賞を受賞しました。
コンテストにおいて最も秀でたスピーカーに贈られる最優秀賞は、中国(瀋陽)代表の趙詩園さんが受賞しました。彼女は、日中関係をあばあちゃんの長年愛用しているハサミという視点からとらえ、さらには日中関係の絆を強くしていきたいという決意が感じられる、心に響くスピーチでした。つづく優秀賞には、ブラジル代表の広瀬亜佐美カーレンさんが選ばれました。自分の祖父母の故郷日本で起こった東日本大震災から、日本の思いやりの精神など、今後発展を遂げていくブラジルが学ぶことについて力強くスピーチしました。コンテスト観覧者から特に評価の高かった者が受賞する会場特別賞は、韓国代表のチェ・ダ・ヨンさんに贈られました。彼女は、日本のドラマに影響を受け、自分の夢のために今後も日本語を勉強して、人の役に立ちたいという将来への強い思いをスピーチし、観客席を感動の渦に巻き込みました。
上述の3名以外にも、コンテスト出場者にはそれぞれ審査委員特別賞が贈られました。なお、審査休憩中には海外の高校生に日本の文化をもっと知ってもらおうという趣旨で、川崎市の中学・高校生による見事な演舞の披露がありました。
コンテスト終了後には、懇親会として「JSA交流パーティー」が立食形式にて催されました。乾杯の音頭と共に太鼓の演奏が披露され、日本の伝統文化を感じながらパーティーがスタートしました。コンテストでは緊張していた海外の高校生たちもやっとコンテストの緊張から解放され、数多く参加した国内の高校生たちとの会話を楽しんでいました。オーストラリア代表ミンサンさんによる自国のプレゼンテーション、中国代表趙さんと伏さんによる歌の披露などもあり、親睦を深めるにあたり大変和やかなムードで終わることが出来ました。